CLUBゆり太 ~タク兄と休日デート~

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CLUBゆり太へようこそ・・

夜業界に限らず お得意様は

とても 有り難く 心強い存在

大口の お得意様であるほど

求められる対応も

よりレベルが高く 細やか

選ばれる側は 常に

相手の要望に 丁寧で迅速に

応えるのは 当然の事ながら

その関係性を 維持する為

ゆり太は 休日営業に出る・・

今日はそんなこと書いていきますので

どうか最後まで お付き合い下さいな。。

眩しすぎる 日中

月曜から 土曜の出勤を終え

日曜の 朝方に帰宅 わずかな仮眠を取り

午後には

電車に 揺られていた。

日曜 昼過ぎの 電車は

平日朝の ラッシュ時のような

すし詰めでは 無いものの

座席は 子供を連れた家族や

若いカップルやら

それぞれで 埋まっている。

私は ドア付近の

銀色の手すりに グッタリ 寄りかかっていた。

電車に 乗ったのなんて

どのくらいぶりだろう・・??

縦長の窓から

次々 切り替わり 流れて行く

日中の景色を 見つめながら

ボンヤリ そんなことを思った。

渋谷で降り 山手線の連絡口まで

人混みに紛れながら

ダラダラ階段を上る・・

学生時代も 昼間の仕事時代も

私は この連絡口を使い

山手線に乗り換えていた。

当時の自分と 状況は全く変わっているが

共通しているのは

どの時代も この階段は

いつも 混んでいて

私は常に ヘトヘトに疲れ切っている・・と

言う点である。

通常の日曜であれば 確実に寝ている

しかし この日は

化粧をし 髪もまとめ

スーツを着ていた。

タク兄の ホーム

山手線 某駅で下車。

ここには タク兄の勤務する会社の 本社ビルがある。

普段は 横浜の支社で勤務なのだが

この周辺にある ギャラリーを一緒に

回りたいと タク兄からの申し出で

この場所で 待ち合わせる事になった。

タク兄と 休日会うのは

この日が初めてだ。

夏から秋に 切り替わりつつある 時期なのに

地上に出ると 日差しも強く

スーツの上着を 脱ぎたくなった。

約束の15分程前に 到着したけど

既に タク兄は

商業施設の ガラス扉の前に立って居る。

あわてて

小走りしながら

「タク兄 遅くなって ごめんなさ~い」

タク兄は 

「ゆり太さん 遅くありません!! 」

「全く 遅くなってません!!」

そんなふうに 真面目に 受け答えする タク兄が

いつも 面白かった。

タク兄は 誰に対しても 敬語で 話す

「本日は 貴重なお休みに

このよう お時間を頂きまして・・」

商談の始まりか?なんか?を

思わせる クソ真面目な 挨拶も

タク兄にとっては ごくごく

当たり前なのだ

すかさず 私も

「いえいえ お誘い頂いて 嬉しいです。」 

そう言って ゆるめに返した。

休日営業の極意

このような 休日営業のやり取りの中で

私は いつも 心がけている事が あった。

お客様にもよるので

全てに 当てはまる訳では 無いのだけど

『少しだけ 崩した対応』

本来 ビジネスシーンであれば

「タク兄 遅くなって ごめんなさ~い」

→「○○様 お待たせして 大変 申し訳ございません」

このように返すところ

 (そもそも時間に遅れる事が あってはならない・・)

敢えて お店とは別

少しだけ崩した 言葉使いや

普段っぽい服装を 好まれる場合が多く

お店では 見せない姿に

喜ぶお客様も 実際に多い。

ただ この日はスーツで 来て 正解だった。

ここは

タク兄の会社の お膝元エリア

日曜とは言え 会社関係者の

目があるかもしれない事と

休日なのに タク兄も

スーツを 着ていたからだ。

崩した対応は あくまで

さり気ない演出

私は 休日を使い この場に

遊びに来ているのでは 無い以上

その 本分を 果たすのは当然。

しかしながら

自分自身も

相手との 楽しい時間を共有している・・

そこの 部分が

ごく自然な形で

お客様に 伝わっていなくては

休日営業で

成果を上げるのは

不可能と言っても 過言では 無いのであった。

まるで ツアー

その日の デートプランは

タク兄の緻密な 計画通り進められた。

遠足や修学旅行で 作成される

『しおり』のように

時間ごとの場所

移動時間 など

全て 事前に練り上げられた

タク兄の 実直さが 全面的に

反映された プランだった。

駅から 少し歩いて

油絵など 美術品が展示されている

ギャラリーに到着。

二日酔いの頭と目で見る

美術品はどれも

私の中で 特殊な加工が施され 

自身の感性に 落とし込むのに

だいぶ 苦労したまま

次の目的地 地下鉄に乗り換え

銀座へ・・

予約済みの 懐石料理のお店に到着。

タク兄から

「お食事は 何がお好みですか??」

この 事前のヒアリングにて

「和食」をリクエストしていた。

同伴も含め お客様から

このように 何を食べたいか?

何処に行きたいか?

聞かれる場面は 全く 珍しくは無い。

正直

何処でも 何でも良いと

思いつつ

完璧なプラン遂行を目指す

タク兄に 気圧される形で

あまり 胃腸に負担が かからなそうな

「和食」とだけ 伝えた。

新人の夜蝶の お嬢さん方に多いのが

このような場面で 手加減無しに

本気で高級な レストランなどに

連れて行かせる夜蝶が たまに居ますが

何処で 何を食べるのかが 目的では無く

例え そこがファミレスや 居酒屋であろうと

お客様と どのような時間を過ごすか?

更に言うなら

最大の目的は

自分の店でお金を使って貰う事

自分が食べたいモノは

自分で稼いだお金で 食べれば良いと

私は 考えていた。

食事を終え

少し 涼しさを取り戻した 銀座の街を歩き

混雑し始めた 電車に揺られ

横浜まで 戻る。

恐縮しながら 振り返るタク兄を 見送り

フラフラになりながら 帰宅。

やっと訪れた『休日』は

もう すっかり夜に なっていた。

タク兄と長女

学生時代 家庭教師の

アルバイトをしていたと言う タク兄。

私に 長女が居る事は

指名を貰うようになった頃

割と 早い段階で 話していた。

タク兄は 年賀状や 暑中見舞い クリスマスカードなど

季節ごとに 出張のお土産と一緒に

長女の為に書いてくれた。

私も 長女に返事を書かせて

タク兄に 渡したりしていた。

そんな 私達 親子を 

いつも気に掛けてくれている

タク兄との会話は

担任の先生との 面談のような・・??

不思議な 空気感だった。

そこに ヤラしさも 下心も

全く 感じない。

タク兄は いつも 冷静で

真面目と言う ひと言では

語れないほど

芯が強く 真っ直ぐな人・・

常に 社会的常識と照らし合わせ

行動している。

それが ちょっと 極端だと 感じる部分も

無くはないけれど

極限まで 物事を慎重に捉え

判断して来たからこそ

その 地位に 上り詰める事が

出来たのかも知れない。

ママとタク兄

お店にとって 有り難いはずの

お客様である タク兄。

けれども ママは

ある時期から タク兄を嫌っていた。

これは タク兄と同じ会社の

別な お客様経由で 聞いた話なのだけど

タク兄が 統括する部署で

部下同士の不倫が発覚。

これを知った タク兄は2人を

単なる 配置換えでは 済まさず

2人同時に 地方のまるで

あさってな 方角(支社)に

島流しにしたと 言うのだ。

これを聞いた ママは

閉店後 ご飯を食べながら

「最低!! 不倫は 良くないのかもだけど・・

じゃぁ 自分が 休日 ゆり太と会ったのは 何なの?」

「ソレ 奥さん 知ったら 自分だって まずいんだよね?

なのに 自分のは 常識の範囲って 言い切れるんだ?!」

普段 ドライなママだけど

この時は 珍しく 感情を あらわにしていた。

ママは私に

「客と外で会うな」

「客と寝るな」 など

夜の世界で生き抜く教えを 説いていたけど

それは けっして

「恋愛禁止」と言うことでは 無かった。

「ゆり太がさ もし 本気で 誰かを好きで・・

もう この仕事 辞めても良いと 思うなら

そうしなよ・・」

ある時 そう 言われた事があった。

結婚をしていても 日々 色々な出会いがあり

社会的な常識 家庭を持つ人間の モラル

その 正しい答えは 誰だって 知っている。

知っているけど

目の前の人を 夢中で 好きになっていく

自分が止められない

それが 周りを傷つけるのも・・

身を滅ぼすかも知れなくても・・

そこは 理屈ではないと

ママは 言いたいらしかった。

タク兄も 立場上

致しかた無かったのだろう・・

でも その実直で 冷静な判断は

時に 『冷酷』とも

周りには 映ることがあるのか・・??

その情報を流した 同じ会社のお客様も

その タク兄の対応に

何らか 思うところがあり

ママのところで 

そんな話を わざわざしたのかも知れない。

私は 取り分けて

それを 聞いたから

タク兄に対する

対応や 見る目も

特段 変わらない

タク兄の 部下に下した処分が

果たして

重すぎるのか? 妥当なのか?

そこも 何とも言いがたい所で

あったのは 事実だけど・・

 

でも

ママが言う 理屈じゃないことは

夜の世界なんかよりも

きっと

ずっと

日常的な 昼社会の方が

普通に 石コロみたく

誰も意識しないくらい

当然に

転がっているのカモ

そんなふうに 思ったりもした・・

また続きでも・・

今日も ここまで お読み頂きまして ありがとうございました。。

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