CLUBゆり太へようこそ・・
昼間の仕事
夜の仕事
それぞれの 場所で いつも
葛藤を 抱える 自分
長女の 将来・・
自分の 未来・・
常に 誰かの 評価により
いつも
左右されてばかり
そんな 不安定な 日常を
このまま 送り続けるべきなのか・・??
今日はそんなこと書いていきますので
どうか最後まで お付き合い下さいな。。
夕方 過ぎ
いつものように 自宅の前からタクシーを拾い
同伴場所まで 向かっていると
ケータイが鳴った。
客からか??
そう思い 画面を見ると
ゴミ松からだ・・
少し前に 連絡を寄越すよう
着信&メールがあったが
放置していたのを 思い出した。
思い出し・・画面を見つめている・・
出勤 直前に ゴミ松なんかと
面倒な話など したくなかったが
信号待ちの 運転手も
鳴り続けるケータイが
気になるらしく
ミラー越しに チラチラ
こっちを 見てくる。
ゴミ松の用件など
出なくても 知っていたが
無視していても
しつこく
また こうして
掛け続けてくるだろう
おろした 髪の隙間から
ケータイを耳にあてる
「あ~ おはよう ゆり太~もう 起きてた~??」
「これから 出勤か~??」
「なに?!」
出勤前は この日に限らず 少し ナーバスだ。
これから向かう
客との関係性が ビミョーだったり
その日の アフターの予定が
重ならないよう 考えたり
出勤前の この移動時間は
そう言った
頭と心の
状況整理の 時間。
そんな ピリピリ来ている
私の 気持ちを 逆なでするような
ねっとり まとわりつく
ゴミ松の 喋り方が いつになく
更に 不快だった。
基本 相手の 気持ちなど
全く 意に介すことなど無い
ゴミ松は 一方的に 話し出す
「ほら~ こないだ サトピと
店に来たときも 言ったろ~?」
「また 俺んとこ 来いよ~」
窓から 隣の車線を流れていく
別の タクシーや
それを 追い越す勢いで
走り抜けるバイクを 眺めながら
無言で ケータイを 耳に当てていた
「オマエもさ~ もう 充分
ミサキ(ママ)と店の為に
やって来たじゃんよ」
迂闊にも その言葉に 一瞬 胸が詰まった。
そう言えば・・
そんな言葉を
誰かに 掛けられたことが
あっただろうか??
これまで ママに
怒鳴り散らされることは あっても
自分が良くやったなんて
そんな 気持ちにすら
なったことも 無かった・・
思えば・・
前の店の オーナーママからは
その店を辞めて ママについて行った事で
逆恨みをされ
信じてついて行った そのママとも
今は こんな状態・・
自分が 生意気で 子供過ぎるのか??
だとしても
このまま この世界で
ママに 従順に仕える
飼い犬のまま 終わるほど
自分が ダメな女だとも
思わない。
一瞬 昼間の仕事に 戻ろうと
考えたりもした・・
けれど
まだ 小学生の長女の
将来の事を 考えると
私は この世界で
稼げるだけ 稼ぐ
可能な限り 稼いで
経済的な事が 理由で
長女が将来に 不安や心配を抱く
そんなマネだけは
絶対に イヤだったのだ。
『ママ』と言う位置づけの
女のトップが 仕切る店は
結局
自分がナンバーワンのままであり続けたい
そう
切望する ママと
そこに 肉迫する子飼いとの間に
やがて 譲るか 追い越すかの
面倒な状況が やって来る・・
これは あくまで 私の個人的な
考えなのだけど
下を育て 次のナンバーワンを
生み出せなければ
その 店は 終わる。
いつまでも 過去の栄光に
囚われて 若い子を下働きに
回してばかりなどしていたら
店は 活性化されないのだ。
もちろん
『ママ』と言う位置づけ
その 存在があっての 店なのは
客の方だって 知ってて来ている。
それに 店の女の子を選ぶ権利は
客の方にある。
自分の男で無い限り
その客が どの子を 選ぼうが
店の売り上げを
伸ばそうと 考えた時に
『ママ』ひとりで 売るよりも
ヘルプを 数多く売る方が
効率的なのだ。
そう言った 話を
これまで
ママとも 何度となくしてきた。
その積み重ねが いつだかの
あの 激しい口論に 繋がったのだ。
ゴミ松の店は 男達で回してる
『ママ』と言う
人間が 存在しない
単純に 女のオーナーから
解放されるのなら
それも 決して悪くはない・・
「考えとく・・」
ひとこと 言った。
ゴミ松は まだ 何か
言おうと 喋っていたけど
既に ケータイをバッグに
放り込み
メーターを 見て
財布を 取り出した。
タクシーを降りると
夜の街の 『匂い』がする。
これは まだ 新人の頃
最初に 感じた
夜の街の特徴 かも知れない。
飲食店が 無数にひしめき合う
この 街は
陽が落ちるのを
待っていたかのように
あちこちから 揚げ物や
ムンムンと湿気を帯びた ラーメンの湯気
行き交う 車がはき出す 排気
街路樹から こぼれる
土っぽい 葉っぱ
客引きのタバコや
髪を固める スプレー
そこに 四方を埋め尽くす
酒の入った 人間達が 集まり
独特な 『匂い』を放つのだ。
そして ある時から
この 独特な『匂い』が
私を 仕事モードへと
切り替える 合図になっていた。
客との同伴は アフターよりも
更に 神経を 使う。
店に行くこと自体も 憂鬱だが
今 この瞬間は
目の前の 仕事に集中すべき。
深く深呼吸し
独特な 夜の空気を
吸い込み ため息と共に
勢いよく 吐き出す
こうすると なんだか 気合いが入り
その日を 乗り切ることが
出来たのだった。
その日の 閉店後
「アンタ 次の店 決めてるの??」
着替えを 終え
フロアーに 出て来た 私に
乱暴に回す パスかのように
ママが そう 言ってきた。
業務上 必要最低限以外の 会話は
まさに あの 言い争い 以来だった。
だから 久々の会話に
ちょっと 面食らった
「いえ まだです。」
視線だけ ママに向けて
短く 答えた。
「アンタが 迷ってるなら
アタシの 知り合いの店 紹介するけど?」
ママからの
予想外な 申し出に
驚いた。
だから
どんな返事を したら良いのか?
この 状況に 戸惑い
黙り込んでいると
「アンタを 放っぽり出すような そんなマネ
ママとして 出来ないから」
この時 私は この言葉の意味を
あまり よく 理解 出来ないでいたけど
ママも
私が 無鉄砲に
飛び出して行くようで
心配で 仕方なかったのだ。
だけども
ママの関係先を
世話して貰うなど
その時の 自分には
面倒な話でしか 無かった。
「いえ、大丈夫です」
「お疲れ様です」
ポツポツ 細切れな会話しか
出来ないでいる 自分に
苛立ちながら
店を出て エレベーターのボタンを
メエ いっぱい 力を込めて 押す。
店の前の 通りに下りると
再び あの 独特な
夜の『匂い』が まとわりついた。
すっかり
濃くなった夜の中で
まだ この街で生きて行く・・
その 未来に
必死で 光を探そうとしている
自分を 強く
信じずには いられないのであった。
また続きでも・・
今日も ここまで お読み頂きまして ありがとうございました。。
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