誕生日そして命日③。。

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MarvintonによるPixabayからの画像

~知らぬ間にながれていた時間~

キーを回して営業車のドアを開けた。

実は営業車のドアを開けるのは初めてだった。

今まで営業車に乗る時は 父が後ろのドアを運転席から自動で開けてたし

助手席に座ることも まず無かった。あの自動でドアをどうやって開けてるのか

小さな頃に何度か聞いた事があったけど父は絶対に教えてくれなかった。

教えれば すぐに子供はやりたくなるだろう 改めて どうやったらドアが開くのか知らないまま大きくなっている自分に気が付いて なんか おかしかった。

助手席のダッシュボードにある 収納部分を手前に引き 車検証等 廃車の手続きに必要な書類を取り出し ドアを閉めて車庫を離れようとしたら

急に 寂しいような 悲しいような 何とも言えない気持ちになった。

私の家は ずっとタクシーで生計を立てていた。その お金で私は育ったのだった。

廃車にするのと同時に うちの名前のタクシーは廃業となるのだ。それは 当たり前のことだけど

泣きそうな気持になった。

そして あんなに運転が上手かったはずの父が 大事な大事な 営業車をヘコませていた。

私が実家を離れていた時間は それほど長い時間だったのか??

知らぬ間に 父の状況は 変わり果てていたのだった。

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