CLUBゆり太へようこそ・・
前回からの続きになります。
ママの客の鬼瓦に閉店後 焼き肉屋に連れて行かれた ゆり太。
店の運営を巡り衝突した末 ママとの間に出来た溝・・
そこに付け入るかのように
「自分の店を出せ」と 迫る鬼瓦に対し 沈黙しているだけの ゆり太でしたが・・
今日はそんなこと書いていきますので
どうか最後まで お付き合い下さいな。。
網の上の肉を見つめ 言葉を探すフリをしつつ内心 本気でブチ切れそうになっていた。
「自分の店を出せ」
これには莫大な資金が必要 そんな金をご親切にタダでくれるヤツなど存在しない
「自分と寝ろ」それを意味している
だが コイツは今まで私に1円も金を使ったことが無い・・もはや私の客ですら無いのに?
「力をかす」??やっぱりバカなのか?このおっさん・・
コイツに肉を焼いてるここでの この時間が無意味過ぎて イライラしていた。
何も言わない私に 鬼瓦は更に
「この後 付き合え そうしたら 良い物件教えてやる」
そう 続けた。
鬼瓦に限らず こうして 担当以外の他の子に このように詰め寄るケースは
別に珍しくもなく むしろ よくあるパターンなのだ。
自分の本命の子に 同じように詰め寄っても店に来させられるだけで
何も見返りが無いと 感じた時 客はこのようなやり方をしてくる。
私も何度と無く経験をしたことがあった。
ヘルプの子が自分ナシで客と会い 裏引きをされ 指名変えをされた事もあった。
指名変えされた後 尚も店に通われる事は 私にとって屈辱的だったし
ヘルプの子に対しても許せないような悔しいような
なんとも言えない モヤモヤした感情を抱いたりもした。
客当人は そうしたことで 私に仕返し出来たつもりでいるのかも知れない・・
だけども
「寝ないならもう客やめる」
そう思わせてる時点で
私とその人は既に終わってるのだと思った。 どんな客でも 必ず終わるのだ。
目先の売り上げに執着すべきではない
始まった時から終わることは決まっているのだから・・
客から寝ろと言われたり
時に指名変えをされるのは この世界にいる以上 誰しも少なからず経験する事なのだろう・・
まだ新人だった私にママは
◆客と寝るな・・・これは 徹底して言われていた。
寝ても寝なくても客はその後 必ず来なくなる 時間の問題
◆客と外で会うな・・・営業以外で外で会えば 店に来る意義が損なわれる
◆客に物を買わせるな・・・何かを買わせれば より一層対価を求められる
◆同業(ホスト)に金を使うな・・・ホストに金を使う→自分の金が他の男に貢がれていると客は思う
当たり前??の事に思うけど 意外にこれらを守れない子が本当に多い。
自分は隠せてるつもりでも 客は平気でよそで喋る。
「どこどこの店の○○って女とヤった。」
「アイツ閉店後 △△って店の男と歩いてた。」
広いようで狭い 夜の街ではあっという間に 広まる。
こう言う噂が出ると 長く残れないのが この稼業。
ママは私にそこを本気で守るように それこそがこの世界で生き抜く方法なのだと 教えた。
「ちょっと・・考えさせてもらえますか??」
ひと言 言った。
もちろん 考える・・なんてウソだ。
考える必要など無い。 今すぐ この場を立ち去ったって別に構わない。
だけども コイツはママの客。
私が下手打ってママの客を潰すワケにも行かない・・
今 どんなにママとの関係がグチャグチャだったとしても これは仕事だ
それに こんな自分の客でさえ無い クソどうでもイイヤツが原因で
更にママの怒りを買うのなんて ごめんだった。
「ダメだ この店出るまでに 返事しろ」
気持ちの悪い 含み笑いを浮かべながら鬼瓦は言った。
「アイツ(ママ)には悪いが あの店は もうダメだ 時間の問題だからな」
知ったように鬼瓦は言うと
ママが自分の店では
自分以下 横一線全部一緒 ゆり太をチーママや自分の右腕にしたつもりもないし
何か特別な権限も与えていない そして 今後も与える必要性も無い・・
そう言ったと言うのだ。
横一線全部一緒・・確かに 私は特にチーママとかそう言う立場では無かった。
でも ママが店を出してから 誰よりもママの力になって来たし
店のどの子よりも 厳しい状況に これまで黙って耐えてきた。
それなのに みんなと一緒?? ふざけないでよ!!
イライラして奥歯を噛み過ぎて居るのか? ほっぺの端っこが痛くなっているのが分かる。
いや・・でも・・ この話はあくまで 鬼瓦が勝手に語っている事
ママが本当にそう言ったかどうかは分からない・・
だけども コイツにこんな言われ方をされること自体 私にとって腹立たしく
そして とてつもなく 惨めな気持ちにさせられたのだった・・
おそらく 鬼瓦とママの関係も微妙な時期なんだと思う。
その証拠にこうして私を自分の手の中に引き込もうとしている。
ビジネス的に ここは ママに変わってコイツを上手く繋ぐ事が
今 この状況下での 自分の役割なのは分かってる
けれど どうしても私は鬼瓦が言い放った「横一線全部一緒」に引っかかっていた。
真っ黒に焦げ付いた網の下に舞う 灰の中の 小さくなった炭火を まるで
探すかのように見つめていると
「もう 出るぞ 行くぞ」
そう言うと 勝手に席を立ち 鬼瓦は店のドアに向かって歩いて言った。
この店出るまでに 返事しろ・・・ こっちは まだ返事などしていない!!
また続きでも・・
今日も ここまで お読み頂きまして ありがとうございました。。
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