ぱる太がプレに通いだし夏休みが明けた頃
3歳検診のその後の経過と相談に再び保健センターに行くことになっていた。
ぱる太は週2回のプレにもだいぶ慣れてきていたし 友達とも仲良く出来ていたりと
この前検診に来た時よりずっと成長してると私の中では思っていた。
区役所に到着し 保健センターの受付に行くと その日は全く待つことなく部屋に案内された。
いつもの保健師さんと 以前 引っ越して来たばかりの頃 面談に来た時にもあった?気がする?女性の心理士さんも席に座っていた。
ぱる太は心理士さんの前の椅子に座るよう言われ 少し緊張した様子で腰かけた。
私はいつだかと同じように 少し離れた場所で 保健師さんにあれこれ質問をされながら ぱる太の様子も気にしていた。
「今日はお名前言えるかな?」
心理士さんの声掛けの 「今日は」と、言う部分が過去にも同じ質問をされて その時 ぱる太が答える事が出来なかった事を表していた。
様々なカードや色のついた積木のようなものを使いながら
心理士さんの声色は柔らかいながらも 眼つきは厳しく ぱる太を見ていた。
一通りのやり取りが終わり ぱる太は椅子から降りて用意されたおもちゃで遊びだした。
保健師さんに促され 先ほど ぱる太が座っていた椅子に座って 心理士さんからの話を聞く事になった。 ある冊子を私の目の前に差し出しながら
「療育センターはご存知ですか?」 と、心理士さんは言った。
療育センター・・・
ぱる太の行動をネットで調べたりする中で その言葉を見たことがあったけど
実際は詳しくは知らなかった。漠然としたイメージでは
一般の学校や幼稚園に通うのが難しい子供が行くところ・・・??その程度だった。
心理さんは はっきりとした口調で
「グレーゾーンなんですよね、だから、なんていうのか 詳しく調べた方がいいのと ここは保健センターですから相談は受けれますけど そう言ったテストであったり サポートってゆうのは管轄外なんです。」
淡々と表情をかえることなく言った。
差し出されたピンク色の冊子には 療育センターの地図や受付時間が書いてある。しばらくそれらを見つめて絞り出すように
「あの、もう、ここではダメってことですか?ぱる太はそれくらい おかしいってことですか??」
抗議のように聞こえたかもしれない。
慌てて 保健師さんが割って入った
「あの、お母さん、そうではないんですよ、もし、お母さんが こちらが良いと言う事でしたら 引き続き相談は いつでも来てもらえるんです。ただ、専門的な事は こちらでは難しいと言うか・・・」
なんだろうな・・・この気持ち
私は こんな結果を聞きに わざわざ ここに来たんじゃない!!
ぱる太は前よりずっと 色々 分かるようになってて
この前 ここに来た時より成長してるんだって、さっきここに来る途中思ってたのに・・・
グレーゾーンってなに??怒りのような悔しいような感情が どっと溢れて
自分が涙を流しているのに気付いた。
「管轄外ってなんですか?もう来ちゃいけないみたく聞こえました・・・ひどくないですか、それって・・・なんか、ぱる太がおかしいって 決めつけてますよね??」
泣きながらまとまらない感情を言葉にしていた。
さっきから 表情ひとつ変えない この心理士さんは
「ちょっと、お母さん落ち着いて下さい。」
その言葉にも 冷たさと苛立ちを感じた。
なだめるように 保健師さんが
「ぱる太くんが おかしいとかではないんですよ、専門的な評価が出来る先生とかは こちらには居ないので・・・」
涙が止まらなかった。
面倒な母親だと、きっと思われただろう。それでも、ぱる太を否定されたような
そんな気持ちになってしまう自分の感情を抑えきれなかった。
あくまで 表情を変えない心理士さんは
「いきなり療育センターは ちょっと・・・と、思うんであれば・・・私のような立場で・・あんまり大々的にはお勧めはすべきではないんですけど・・・」
そう 前置きして
とある幼児教室の名前を言った。そこは発達障害に特化したカリキュラムがあるらしく通わせている
お母さん方も多いのだとか。
一先ず その日の話は そこで終わり
おもちゃで遊んでいたぱる太に靴を履かせながら 下を向いて泣いてた顔を見られないようにした。
手をつないで区役所の自動ドアを出ると もわぁっと 暑い空気が立ち込めた。
出てすぐ横にある自販機でぱる太にジュースを買った。
きつく閉められたキャップを開け しゃがんで ぱる太に手渡した。
ごくごく飲むぱる太の姿を見て 再び涙が溢れた。
急いで立ち上がり涙をこらえようとした、でも、どうしても無理だった。
ジュースをこぼしそうに歩くぱる太の手を引き歩いた。
この先 この子はどうなるんだろう。
私に そんな子供 育てていけるかな?
なんでなんだろう・・・
どうしてなんだろう・・・
この子は普通の子じゃないの??
まっすぐ 家に帰る気持ちになれず
少し離れた場所の噴水で水遊びが出来る場所に行った。タオルも着替えも何も持ってなかったけど
もう、そんなのどうでも良かった。
びしゃびしゃになって無邪気にはしゃいでいる ぱる太を見ながら
私は 何度も涙を拭いた。
ショックすぎる日だった。
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