~父が残したもの~
枝みたく痩せ細っていた父の骨は 意外にもゴツゴツとしっかりしていた。
斎場の職員の方が
「喉仏が とても立派な方だったんですね。」と、おっしゃった。
見ると ボコッと飛び出た独特な形の骨がある。ここら辺にガンがあったんだろうな・・・
もっとこの骨が小さかったら 少しくらい食べ物も通せたのだろうか??
そんな事を思いながら骨壺に納めた。お骨は兄の家に置かれた。
実家のポストには ありとあらゆる請求書が溜まっていた。営業車の整備代金やら消費者金融のもあった。父は借金まみれで債務整理の相談を法テラスにしていたようだった。
当然 葬式など出せるはずも無く 火葬するだけの直葬になった。それでも市内に住む父の親戚何人かは駆けつけてくれて 父の為に涙も流してくれた。
私も兄も そしてお嫁さんも グッタリしていた。よく親が残した遺産が原因で、例えそれが少額だったとしても親族間での骨肉の争いに発展するなんて テレビで見るけど
私らに残されたのは 散らかった実家の後片付けと 父があちこちでしている借金だった。
実家は県営住宅で古い団地だ。家賃はおそらく4万しない程度だったにもかかわらず
数年分、約80万近く滞納していたのだった。他にもまだ分からないだけで この先 雨後の筍の如く次々と借金が判明する可能性もあった。
母は父に借金があったのを知っていた。離婚した母にとっては父の借金は無関係だろうけど
私や兄は 母より早くに実家を出てそれぞれ別な家庭を持って暮らしていたけど債権者にとって母のような言い訳は通じないと思い あれこれ調べていた時に 『相続放棄』と、言う方法があるのを知った。
詳しい内容はここでは省略するのだけど、私が行った手続きは 父が死んでから3か月以内に裁判所に一切相続はしません!!と、言う書類を出せば父の借金を請求されずに済む、と、言ったものだ。
(かなりざっくりな説明だけども💦)
書類も裁判所のホームページからダウンロード出来て事前に記入を済ませておくと身内の死後 慌てずに済むと思う。特に私は、出産予定日を間近に控えていた為 記入済みの書類を 兄が自分の物と一緒に提出してきてくれた。
これはお嫁さんがそうしてくれるように言ってくれたからなんだけど・・・
そもそも兄とはそこまで 仲が良くなかった。子供の頃は本当に大嫌いだったし。
金持ち 貧乏 関係なく親が死ぬと子供達は本当に大変だと 改めて思った。
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